退職金について
熟年離婚の場合、退職金が今後の生活の糧となることが多い為、しっかりと考えておいた方が良いでしょう。
○退職金の考え方
退職金は、給与の後払い的な性質があると考えられています。その為、退職金も給与と同様、財産分与の対象になりえます。
しかし、一般的に退職金が支払われるのは退職時であり、会社の経営状態や退職理由などによっては支払われない可能性もある為、確実に支払われるという保証はありません。
よって、退職までに何十年もあるというケースにおいては、一律に退職金を財産分与の対象としてしまうのは不都合です。
その為、退職金を財産分与の対象とするには、退職金の支給が確実であると見込まれることが必要になります。
また、支給が見込まれる場合であっても全額が対象になるわけではなく、婚姻期間(退職金の形成に貢献している割合)に応じた部分のみが対象となると考えられています。
○退職金が財産分与の対象となる場合
★退職金がすでに支払われている場合★
退職金がすでに支払われている場合は、
(1)実質的な婚姻期間(同居期間)が何年であったのか
(2)退職金の支給にかかる勤務年数がどれだけであったのか
によって「配偶者は、退職金の形成にどれだけ貢献をしているのか(寄与期間割合)」が変わります。
この割合を基礎に金額を計算することになります。
また、退職金を受領したのがだいぶ前のことであり、離婚時においてすでに退職金がなくなってしまっているような場合には、財産分与の対象となる財産がすでに存在しない為、財産分与の対象にならないとされてしまう可能性が高いです。
★退職金がまだ支払われていない場合★
将来的に支給されることがほぼ確実であることが見込まれる場合には、財産分与の対象になると考えられます。
これは、会社の就業規則(退職金支給規定)や支給実態等も考慮することになります。たとえば,若年離婚等で,あまりに遠い将来に退職する場合には,将来受け取るかどうかわからない退職金の分割を今の段階で認めてしまうことになるため,片方の配偶者にとって不公平であるとして,裁判所も退職金の分割を認めないことが多いです。しかし,仮に若年離婚であっても退職することがすでに決まっている場合には,財産分与の対象となる可能性が高いでしょう。